I
(1)五十音図カ行第一段の仮名。 軟口蓋破裂音の無声子音と後舌の広母音とから成る音節。
(2)平仮名の「か」は「加」の草体。 片仮名の「カ」は「加」の偏。
II
(副)
〔多く「かく」と対で用いられる〕
あのように。

「宇奈比川清き瀬ごとに鵜川立ち~行きかく行き/万葉 3991」

III
(接尾)
状態・性質を表す語または造語成分に付いて, そのような状態・性質であることを表す。 多くさらにその下に「に」または「だ(なり)」を伴って, 副詞または形容動詞として用いられる。 「おろ~」「しず~」「いささ~」など。
IV
(接頭)
主として形容詞に付いて, 語調を整え意味を強める。

「~弱い」「~細い」

V
か【下】
名詞に付いて, そういう状態の中にいる, そういう環境のもとであるなどの意を表す。

「インフレ~の日本経済」「支配~」「占領~」

VI
か【佳】
すぐれてよいこと。 美しいこと。 また, そのさま。

「眺望~なり/福翁自伝(諭吉)」

VII
か【価】
助数詞。 原子価・イオン価, 酸の塩基度あるいは塩基の酸度, アルコール分子中の水酸基の数などを表す。

「一~のイオン」

VIII
か【処】
名詞または動詞の連用形の下に付いて, 場所の意を表す。 ところ。

「あり~」「住み~」「奥~」「山~(ヤマガ)」

IX
か【加】
(1)たし算。

「~減乗除」

(2)「加奈陀(カナダ)」の略。

「日~貿易」

X
か【化】
※一※ (名)
(1)徳によって教え導くこと。 教化。 感化。

「仁政の~を致れんには如かじ/太平記 13」

(2)自然が万物を育てる力。 化育。 造化。
(3)生滅転変の理。 変化。 変遷。

「陰陽の~」

※二※ (接尾)
主に漢語の名詞に付いて, そういう物, 事, 状態に変える, または変わるという意を表す。 「映画~」「自由~」「液~」など。
XI
か【可】
(1)それでよいとすること。

「住み込みも~」

(2)よいとして認めること。

「国民の大多数が~とするならば…」

(3)成績を示す評語。

「良」の次。 あまりよくないが及第できる成績。 「優・良・~」

~もなく不可もなし
(1)〔論語(微子)〕
言行が中道を得て過不足がない。
(2)〔後漢書(光武帝紀)〕
とりたてて欠点もないが, 長所もない。 平凡である。
XII
か【夏】
(1)伝説的な中国最古の王朝。 治水に功績のあった禹(ウ)が, 舜(シユン)の禅譲をうけ王位についた。 以後世襲により一七代続き, 暴君桀(ケツ)の時, 殷(イン)の湯王に滅ぼされたという。 夏殷周三代と並称。
(2)五胡十六国の一(407-431)。 匈奴の赫連勃勃(カクレンボツボツ)が建国, 関中を支配したが, 北魏に滅ぼされた。
XIII
か【寡】
すくないこと。
「~を以つて衆に当り/近世紀聞(延房)」
~は衆(シユウ)に敵せず
「衆寡(シユウカ)敵せず」に同じ。
XIV
か【彼】
(1)不定称の指示代名詞。

「なに」と対応して用いて, 物事を漠然とさし示す。 「なにや~やと物いりが多い」「なんとも~とも申し訳ないことでございます」

(2)遠称の指示代名詞。 話し手や聞き手からともに離れた物や人をさし示す。 かれ。 あれ。

「思へども人目つつみの高ければ~はと見ながらえこそ渡らね/古今(恋三)」「~の木の道の匠(タクミ)の造れるうつくしき器物も古代の姿こそをかしと見ゆれ/徒然 22」

XV
か【戈】
古代中国の武器の一。 片方に枝が出たほこ。
XVI
か【日】
助数詞。 和語の数詞に付いて, 日数を数えるのに用いる。
(1)月の何番目の日であるかを示す。

「今月の九(ココノ)~は日曜日です」

(2)何日間かという日数を示す。

「三(ミツ)~かかる」「あと十(トオ)~待て」

(3)〔「夜(ヨ)」に対する〕
「昼」の数を示す。

「三~三晩」「夜には九夜(ココノヨ)日にはとを~を/古事記(中)」

XVII
か【果】
※一※ (名)
(1)原因・因縁によって生じたもの。 結果。 むくい。
(2)修行の結果として得られる悟り。

「此行を以て~を得たる時も/正法眼蔵」

(3)木の実。 くだもの。

「此種子を長ぜざれといはねども, 必ず其の~を得るが如し/沙石 2」

※二※ (接尾)
助数詞。 くだもの類を数えるのに用いる。

「大なる梨子, 柿…一二~を食つるに/今昔 13」

XVIII
か【架】
物をのせたり掛けたりする台。
XIX
か【火】
(1)五行(ゴギヨウ)の第二。 季節では夏, 方位では南, 色では赤, 十干では丙(ヒノエ)・丁(ヒノト), 五星では火星に当てる。
(2)七曜の一。 「火曜」の略。
(3)律令制で, 軍団の一組。 兵卒一〇人から成る。
XX
か【禍】
わざわい。 ふしあわせ。
「~を転じて福とする」
XXI
か【科】
(1)教育・学問などで, 分野などを示す区分け。 部門。

「国文~」「内~」

(2)生物の分類上の一段階。 目(モク)の下, 属の上。

「食肉目イヌ~」

~に盈(ミ)ちて後(ノチ)進む
〔「孟子(離婁下)」による。 「科」はくぼみの意。 流れる水が, くぼみを満たしてから先へ流れて行くことから〕
学問は一歩一歩順に従って進めねばならないということ。
XXII
か【窠】
「窠紋(カモン)」に同じ。
XXIII
か【箇・個・个】
助数詞。 漢語の数詞に付いて, 物事を数えるのに用いる。 普通, さらに漢語の名詞に続いて用いられる。

「三~月」「五~条」

〔「个」の代わりに片仮名「ケ」も用いられる〕
XXIV
か【荷】
助数詞。 (一人が肩でかつぐほどの量の)荷物を数えるのに用いる。

「酒樽三~」

〔天秤棒でかつぐ二つの荷物を一組とし, それを一荷と称したことに由来する〕
XXV
か【菓】
※一※ (名)
木の実。 くだもの。

「花開れば必ず~を結ぶ/今昔 3」

※二※ (接尾)
助数詞。 くだもの類を数えるのに用いる。

「瓜一~を取て食てけり/今昔 29」

XXVI
か【華】
はなやか。 はでやか。 虚飾。

「其楼閣を~にして, 其酒肴を美にせず/横浜新誌(景一)」

~を去り実(ジツ)に就(ツ)く
みかけの華やかさを求めないで, 地味で堅実な態度を選ぶ。
XXVII
か【蚊】
双翅目カ科の昆虫の総称。 体長5ミリメートル内外。 体と脚は細長く, 口吻(コウフン)が長い。 はねは二枚で細く透明。 雌の成虫は人畜より吸血して痒(カユ)みを与え, 種によってマラリア・日本脳炎などの伝染病を媒介する。 幼虫はボウフラ, 蛹(サナギ)はオニボウフラと呼ばれ, 池沼や水たまりで生活する。 日本にはアカイエカ・シナハマダラカなど約一〇〇種がいる。 ﹝季﹞夏。 《わが宿は~のちいさきを馳走也/芭蕉》
~の食うほどにも思わぬ
全く影響を受けない。
~の臑(スネ)
細くて弱々しいすね。
~の鳴くような声
蚊の羽音のようなかすかな声。
~の涙
量のきわめて少ないことのたとえ。
XXVIII
か【課】
(1)役所や会社などの組織上の小区分。 普通, 局・部より下で係より上。
(2)教科書などの一区切り。 章。

「来週から次の~に入る」

XXIX
か【過】
※一※ (名)
(1)あやまち。

「自らの~を悔いる」

(2)「過去」の略。

「~・現・未の三世」

(3)実際より大げさなこと。 誇張されていること。

「かように~をば申せども/狂言・鼻取相撲」

※二※ (接頭)
(1)漢語に付いて, 度がすぎていることを表す。

「~保護」

(2)〔化〕 同一元素を含む類似の化合物のうち, 中心元素の原子数が, 基準となるものより多いことを表す。 酸素を含む酸(オキソ酸)では, 中心原子の酸化数が基準となるものより多いことを表す。

「~酸化物」「~塩素酸」「~マンガン酸」

XXX
か【顆】
助数詞。 玉・果実など, 粒になったものを数えるのに用いる。

「一~のルビー」「半~のミカン」

XXXI
か【香】
におい。 かおり。

「磯の~」「移り~(ガ)」

XXXII
か【鹿】
シカの古名。

「妻恋に~鳴く山辺に/万葉 1602」


Japanese explanatory dictionaries. 2013.

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